6-2 EFP取引 - 先物・オプション入門

EFP取引

EFP取引は、当業者が先物市場を活用する際の有効なリスクヘッジ・ツールとして、米国においては古くから利用されてきたものです。 当業者は、場外で行った現物取引の売買契約(※下記一覧表参照)を背景に、当事者間の合意に基づく申し出(同一価格、同一限月かつ同一数量の売付注文と買付注文の申し出)を本所に対して行うことによって、先物市場での取引を成立させることができます。 現物取引の売契約者は、本所における買付注文、現物取引の買契約者は本所における売付注文の申し出をそれぞれ行います。
EFP取引は、先物の建玉を建てる場合にも仕切る場合にも利用できます。
EFP取引の手続き、またお気付きの点などに関しましては、受託取引参加者にお尋ねください。

※〔対象とする現物取引における商品〕

市 場 内 容
(1) 石油 原油‥原油及び石油製品
ガソリン‥原油、ガソリン及びナフサ
灯油‥原油、灯油及びジェット燃料
軽油‥原油、軽油及びA重油
(2) 中京石油 ガソリン‥原油、ガソリン及びナフサ
灯油‥原油、灯油及びジェット燃料
(3)貴金属 金‥純度99.5%以上の金
銀‥純度99.9%以上の銀
白金‥純度99.95%以上の白金
パラジウム‥純度99.95%以上のパラジウム
(4) ゴム くん煙シート(別名RSS)、技術的格付けゴム(別名TSR)、未くん煙シート(別名USS)*グレードは問わない
(5) 農産物・砂糖 一般大豆‥大豆、大豆ミール及び大豆油
小豆‥小豆
とうもろこし‥とうもろこし、コーンスターチ、コーン油及びDDGS
粗糖‥粗糖及び精糖
(6) アルミニウム 純度99.70%以上、鉄分0.20%以下、シリコン0.10%以下であるアルミニウム(標準品と同純度且つ同成分の品質以上)*形状は問わない

 

EFP取引の主なメリット

EFP取引で実現される受渡例

市 場 内 容
(1) 石油
  • 標準品、受渡供用品以外での受渡し‥灯油で代替ヘッジを行ったジェット燃料の受渡し、現金決済先物取引の原油の受渡し
  • 本所が指定する受渡場所以外での受渡し‥東京湾岸所在の製油所又は油槽所以外の国内及び海外での受渡し
(2) 貴金属
  • 標準品以外での受渡し‥形状にとらわれない受渡し
  • 受渡供用品以外での受渡し‥受渡単位、指定ブランド及び指定量目にとらわれない受渡し(例:白金の100オンス〔3.1キログラム〕塊)
  • 本所が指定する受渡場所以外での受渡し‥指定倉庫等にとらわれない受渡し(国内外の営業倉庫、海外渡し)
(3) ゴム
  • 標準品以外での受渡し‥RSS3号以外での受渡し
  • 受渡供用品以外での受渡し‥供用期限、受渡単位及び指定量目にとらわれない受渡し(例:RSSの他グレード、TSR、USS)
  • 本所が指定する受渡場所以外での受渡し‥指定倉庫にとらわれない受渡し(国内外の営業倉庫、海外渡し)
(4) アルミニウム
  • 標準品以外での受渡し‥形状にとらわれない受渡し
  • 受渡供用品以外での受渡し‥供用期限、受渡単位、指定ブランド及び指定量目にとらわれない受渡し(例:中国塊、ロシア塊)
  • 本所が指定する受渡場所以外での受渡し‥指定倉庫にとらわれない受渡し(国内外の営業倉庫、海外渡し)

 

具体例(ゴム)

例えば、7月15日の時点で、12月にRSS3号をFOBバンコクにて中国向けに出荷したいシッパーAと、手配したい製品メーカーBがいるとします。シッパーAと製品メーカーBは取引交渉に入りますが、売り手であるシッパーAと、買い手である製品メーカーBとでは、望ましい価格決定のタイミングがそれぞれ異なります。 しかしながら、要求される品質基準、配送条件等の問題から、シッパーAと製品メーカーBは、事前に契約条件を確定しておく必要があります。

まずシッパーAと製品メーカーBは、納入日(12月8日)におけるEFP取引の実施を前提に、納入日当日の東工取12月限±αを現物の取引価格として、現物売買契約を結びます。この時点(7月15日)では、実際の取引価格は確定しませんが、品質基準や配送条件等の契約内容に対応した値差(±α)を当事者間で決定することができます。
契約締結後、シッパーAは東工取12月限に売建玉を、製品メーカーBは東工取12月限に買建玉を、それぞれの都合に応じたタイミングで建て、納入日のEFP取引によってそれぞれの建玉を仕切ることになります。

シッパーAは、12月納入予定のゴムに充当する原材料手配の目途がついた段階(10月15日)で売建玉を建てます。契約に基づき現物の納入日にEFP取引を実施することで、当日の先物価格(200円)で売建玉を買戻すとともに、当日の先物価格±αで現物を売ることになることから、全体としては、売建玉を建てた段階の先物価格(210円)±αで現物を売ることができたことになります。

一方、製品メーカーBは、12月生産分についての目標とする原料調達コストが確定した段階(8月15日)で買建玉を建てます。契約に基づき現物の納入日にEFP取引を実施することで、当日の先物価格(200円)で買建玉を転売するとともに、当日の先物価格±αで現物を買うことになることから、全体としては、買建玉を建てた段階の先物価格(150円)±αで現物を買うことができたことになります。

これらを整理すると、次の表のとおりとなります。

日付 契約内容 TOCOM
12月限
先物価格
シッパーA
(現物の売り手)
製品メーカーB
(現物の買い手)
先物市場 現物市場 現物市場 先物市場
7月15日 基本契約 160円   (基本契約) (基本契約)  
           
    (価格下落)        
           
8月15日 買い手市場参入 150円     (\150±α) \150(買建)
       
    (価格上昇)        
       
10月15日 売り手市場参入 210円 \210(売建) (\210±α)    
   
    (価格下落)        
   
12月8日 現物受渡し& 200円 \200(買戻) \200±α \200±α \200(転売)
  EFP取引の申出   (EFP) (現物受渡) (現物受渡) (EFP)
差額 +10円 - - +50円
全体のキャッシュフロー (+200±α)+10
=+210±α
(△200±α)+50
=△150±α

このように、それぞれが建玉を建てた段階の先物価格に所定の値差(±α)を加味した価格(図中の波線部)に取引価格を固定化することによって、双方の都合に応じた価格決定のタイミングの選択が可能なります。
また、予め取引の相手方を特定できるため、価格以外の契約条件については事前に当事者間で調整することが可能になります。

仮に、AとBのそれぞれが、通常の個別競争売買によって各自のヘッジポジションを仕切ろうとした場合には、注文が大口であればある程、自らの注文によって約定価格が影響を受けてしまい、希望した価格で建玉を仕切ることができなくなる可能性が高いことに加え、注文した全量が同一価格で約定するとは限らないこと等も懸念されます。

これに対して、EFP取引にあっては、先物市場における約定値段が、自らの注文によって影響されることが無く、全ての約定を同一価格で成立させることができるため、先物市場をより効率的に利用する有効な手段となります。
更に、透明且つ公正な先物価格を価格指標として利用することによって、現物取引における価格決定の透明性及び客観性の向上も期待できます。


 

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