4-2 買いヘッジとは - 先物・オプション入門

買いヘッジとは

現物の売り約定をした者が、その値上りにより損失を補うため、先物市場において買いつけることをいいます。買い付けを予定している場合、今後の価格変動(特に値上がり)に係わりなく、現時点での先物価格で商品を手当する目的で用いられるのが「買いヘッジ」です。現時点で将来の買い付け数量に相当する先物の買いポジションを建てておき、将来、現物の買い付けを行うときに、この先物の買いポジションを転売によって決済する方法が一般的です。
こうしたオペレーションによって、実際に価格が上昇した場合には、現物取引ではコスト上昇が生じますが、先物取引では利益が発生するので、先物取引の利益で現物取引のコスト上昇を相殺できる訳です。
逆に、価格が下落した場合には、先物取引では損失が発生しますが、現物取引ではコストをおさえるので、先物取引の損失は現物取引のコスト低減で相殺されることになります。
後者の場合、「ヘッジしなければ現物取引(値下がり)の利益を享受できたのに」という意見が後から出ることが多々ありますが、買いヘッジの目的はあくまで、ある時点の価格で将来の商品の調達費用を確定する点にある訳ですから、これで目的は十分に達成されているのです。

買いヘッジの具体例

具体例として、ある商社が金地金を半年後に10 キログラム調達して、メーカーに納入しなければならないケースを考えてみましょう。今現在の金価格は2,000円/グラムですが、納入価格は2,100円/グラムで、実際に金地金を納入するのは半年後だとします。金地金の価格がずっと2,000円/グラムのままであれば、このビジネスは十分採算がとれる(100円/グラムつまり10キログラムで100万円の利益が得られる)のですが、半年後には金価格は採算のとれない水準まで上昇してしまうかもしれません。かといって今から金地金の現物を10キログラム購入して半年間保管するのでは、2,000万円もの資金を半年間も寝かせておくことになりますし、また地金の保管費用も無視できません。そこで、現時点において10キログラム分相当の金先物のポジションを買い建てておくのです(以下では先物価格と現物価格は同じ動きをすると仮定して、2,000円/グラムで先物の買いポジションを建てたとします)。

このとき、半年後に金価格が2,500円/グラムに値上がりした場合には、どのようになるでしょうか。ヘッジをしていなければ、時価2,500円/グラムで金地金10 キログラムを調達して、当初の約束の2,100円/グラムで納入しなければならないので、現物取引に係る手数料等を無視しても、400円/グラム、つまり10キログラムで400万円の損失が発生してしまいます。しかし2,000円/グラムで買い建てた先物ポジションは、先物価格も現物価格と同じような動きをするので、その先物価格も2,500円/グラムあたりまで上昇しているはずです。したがって、この買いヘッジのポジションを転売して差金決済すれば、500円/グラム(=2,500円/グラム-2,000円/グラム)、つまり10キログラムで500万円の利益が先物市場から得られることになります。この先物取引から得られた利益500万円で、現物取引で発生する損失400万円をカバーすれば、差し引き全体として100万円の利益(当初の思惑通りの利益)が確保されたことになります。

反対に、半年後、金価格が1,500円/グラムに値下がりした場合には、先物取引では500万円(=(1,500円/グラム-2,000円/グラム)×10キログラム)の損失が発生しますが、現物取引では1,500円/グラムで調達して2,100円/グラムで納入すればよいので、600万円(=(2,100円/グラム-1,500円/グラム)×10キログラム)の利益を上げることができます。全体としては差し引きで、この場合もやはり100万円の利益が確保されたことになります。


 

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