検定試験テキスト -農産物取引の基礎知識-

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第1章 とうもろこし・大豆の基礎知識


第2節 大豆

第1項 大豆の商品特性
  1. 大豆の歴史

    1. 大豆の起源

      大豆の起源は非常に古く、中国東北部からロシアのアムール川流域が原産地とされている。中国では2600年前の書物に大豆が登場しており、諸説はあるものの、4000年以上前から栽培が始まったといわれている。日本には、朝鮮半島を経て、縄文時代には伝来したと考えられおり、古事記にも「五穀豊穣」の「五穀(稲・麦・粟・小豆、大豆)」の一つとして記載されているなど、稲作と一緒になって田んぼの畦で栽培されてきた長い歴史がある。

      大豆の欧米への伝播には日本が密接に関係しており、ヨーロッパ人にとっての大豆及び大豆食品の歴史は、フィレンツェの商人で「世界周遊記」を書いたフランチェスコ・カルレッティが1597年に日本の長崎を訪れた際に「味噌」について記述したのが記録に残っている限り最も古いといわれている。また1613年にはイギリス国王ジェームズ一世の使節として徳川家康宛の書簡を携えて来日したイギリス東インド会社艦隊司令官ジョン・セーリスも日本の「豆腐」について記録を残している。実際にヨーロッパに伝わったのは大豆よりも先に大豆食品で、最初に輸入された大豆食品は1670年にオランダ人がフランスのルイ14世のために日本から持ち込んだ「醤油」だといわれている。一方、大豆そのものがヨーロッパに伝わったのは18世紀初頭で、1730年代にはオランダやフランスで栽培の記録が残っている。

      米国に大豆が伝わったのには諸説があり、1804年に帆船の重石(バラスト)として袋詰め大豆が使われて米国に持ち込まれたのが最初だという話もある。米国が世界最大の大豆生産国として名乗りを上げるようになったのは、1930年代から40年代であり、第二次世界大戦が勃発して食用油の輸入が止まってしまったため、食用油の原料として急速に栽培が広まった。1930年から1942年の12年間で、大豆の世界生産量に占める米国のシェアは3%から46.5%に急拡大し、1942年以降は中国を抜いて世界最大の大豆生産国として君臨している。

    2. 大豆市場の構造変化

      第二次世界大戦後、世界的な人口増に伴う食肉需要の増加に伴い、高蛋白の飼料原料である大豆ミールが注目され、米国での大豆生産は急拡大していく。しかし、1970年代になると米国だけでは世界の大豆需要を賄い切れなくなり、これに関連するエポックメイキング的な出来事が、1973年のニクソン大統領による「大豆輸出禁止措置」である。1972年秋以降、世界的な大豆の不作やアンチョビの不漁等により大豆価格が値上がりし、1973年には、1月に4ドルだった大豆の先物価格が6月後半には12.12ドルになるなどわずか半年で3倍になった。これを受け、米国は国内需要を満たすことと国内の飼料価格と食品価格の抑制を最優先に考え、6月に大豆輸出禁止措置を発表した。このことは日本をはじめ大豆輸入国に大きな衝撃を与え、特に、日本は当時約340万トンの大豆を輸入し、その9割以上を米国に依存していたことから、大豆食品業界は大混乱に陥った。この禁輸措置は9月には解除されたが、このことは、大豆の大輸入国である日本に対して特定の国だけに大事な大豆を依存することの怖さを認識させることとなり、その後、大豆調達の分散化、多様化が叫ばれるようになった。

      南米、特にブラジル・アルゼンチンはこの20年間で大豆の一大生産地として急成長を遂げているが、その歴史は古くない。ブラジルが注目を浴びるようになったのは、1970年代後半に突然中国を抜いて世界第二位の生産国に躍り出てからである。このブラジルの急激な成長の背景には、1973年の米国による大豆輸出禁止措置があり、日本も深く関わっている。ブラジルは、今でこそ大豆を含む農産物の大生産国・輸出国だが、1970年代前半までは農産物の純輸入国だった。そのため、農地拡大はブラジルにとっても悲願であり、そこで注目されたのが「セラード」と呼ばれるサバンナ地帯であった。この場所は土壌が農業に適さず、肉牛生産のための放牧が行われている程度であったが、開発にあたって日本が技術的な援助を行い、大豆生産を促した。この理由としては、日本は1973年の米国による大豆輸出禁止措置で調達先多様化の必要性を痛感していたからに他ならない。なお、アルゼンチンでも1970年代半ばから生産量が拡大している。

      2012/13年は大豆の世界で歴史的な年になる可能性が高い。それは、米国が1942年以来(1947年を除く)維持してきた世界最大の大豆生産国の地位をブラジルに奪われる年になると予想されているからである。昨年の米国の大干ばつの影響があることは事実であるが、それを差し引いてもブラジルの急成長振りには驚かされる。2003年にブラジルとアルゼンチンの2カ国の大豆輸出量が米国の輸出量を抜いたときも一つの転換点と捉えられていたが、2013/14年はブラジルが単独で米国とほぼ並ぶものと予想されている。

  2. 大豆の品種・用途

    1. 品種

      大豆はマメ科の一年草で、品種は植物学的に茎の生育習性によって「無限伸張型」と「有限伸張型」に分類される。「無限伸張型」は原生種の性質に近く、大豆原産地である中国東北部や米国などで栽培されているもので、下から順番に花を咲かせながら茎が伸びていき、やがて先端が衰えて止まる。「有限伸張型」は日本などで栽培されてもので、下に花が咲くとやがて茎の先端にも花がついて茎の伸張が止まる。

      大豆の品種群はさらに、粒の色(黄色、緑色、茶色、黒色)、粒の大きさ、ヘソ(種子と莢の連結部分)の色(白目、黒目、茶目等)、葉型、早生晩生の別などにより多くの品種に分類されている。

      1996年以降、米国を中心に遺伝仕組換え品種が導入されると、生産コスト削減と単収向上が図れるとして、除草剤耐性品種(例:ラウンドアップレディ)の栽培が急速に広がった。大豆はとうもろこしよりも遺伝子組換え品種の導入スピードが速く、2000年にはとうもろこしより5年早く作付比率が50%を超え、2012年には93%になっている。一方で、日本やヨーロッパでは遺伝子組換え品種の安全性に対する懸念が根強く、日本の食品メーカーは食品用大豆には非遺伝子組換え大豆を用いている。

    2. 大豆の特性と用途

      大豆は、水分含有率13%ベースで蛋白質が約35%、油分が約19%、炭水化物が約28%、灰分が約5%含まれている。

      大豆の用途は、主に「食品用」、「大豆ミール」、「大豆油」の3つに分けられる。大豆は、日本人にとって豆腐、納豆、味噌、醤油の原料としての「食品用」のイメージが強いが、世界的には、「大豆油」と「大豆ミール(大豆粕)」の原料としての位置付けが強い。

      飼料原料は、配合飼料における割合が大きいものは主原料、少ないものは副原料と呼ばれている。主原料の代表格はとうもろこしであり、副原料の代表格が大豆ミールである。大豆ミールは、蛋白組成分が約44%の「ロープロ」と約48%の「ハイプロ」に分けられる。日本はロープロ主体であるが、米国ではハイプロ主体である。

      大豆油は、大部分がてんぷら油やサラダ油、あるいはマヨネーズやマーガリンなどの原料としての食品用に用いられるが、その他にも塗料や潤滑油、印刷インク、バイオディーゼルなどの工業用にも用いられる。競合する植物油としては、パーム油、菜種油、綿実油などが挙げられる。
      大豆1ブッシェル(bu)を圧搾して生産される「大豆ミール(ハイプロ)」と「大豆油」の生産量は以下のとおり。

  3. 大豆の生育

    大豆は主要生産地である米国において以下のような生育過程を経て収穫されるが、大豆は作付地帯が北はカナダ国境から南はメキシコ国境と広く、品種も多いことから生育期間は地域や品種によって3ヶ月から5ヶ月と大きく異なることに留意する必要がある。

    大豆は、植物学的には光周期性の高い作物であり、開花や着莢(さや)が昼の長さ(日照時間)で決定されるという特性を持つ。生育状況に関わらず、秋の訪れとともに成長が止まる。大豆の生育は以下の通り、大きく4段階に分類できる。

    1. 播種(Planting)、発芽・出芽(Germination and Emergence )
      米国では、5月から6月上旬にかけて、とうもろこしより10日ほど遅れて作付けが行われる。地温が華氏50℃(摂氏10℃)以下では発芽はきわめて不良になるので、華氏55℃(摂氏12.7℃)から60℃(摂氏15.5℃)になるのを待って作付けが開始される。気温や土壌水分に左右されるが、作付け後、5日から20日程度で発芽する。
    2. 開花期(Flowering 又はBlooming)
      発芽から約1ヶ月後、7月から8月前半にかけて開花が始まる。無限伸張型の品種が多い米国の場合、主茎下位から上に向かって次々と枝分かれした節の付け根に花がを咲き、その後、受粉する。積算温度が重要なとうもろこしとは異なり、大豆は光周期感受性の強い作物であり、夜の時間の長さ(暗期)が開花に影響を与える。
    3. 着莢期(Setting Pods)
      8月から9月初旬にかけては着莢期と呼ばれ、大豆生育の中で最もデリケートな時期である。莢の伸張は開花・受粉後5日目頃から始まり、20日目頃に最大の長さになって結実期に移り、子実が成長する。着莢から結実が進むこの期間は登熟期と呼ばれ、光合成が活発に行われるため、十分な降雨があって土中の水分・養分が豊富に供給されることが望ましく、気温も日中が華氏80度台(摂氏26.7度から31.7度)、夜間が60度台(摂氏15.6度から20.1度)、平均で75度(摂氏23.9度)が理想的といわれる。
    4. 落葉期(Dropping Leaves)、収穫期(Harvest)
      子実の成長が終盤に差し掛かると、葉や莢が黄変して落葉が始まり成熟期を迎える。その後、莢の色は茶色に変色し、早ければ9月中頃から収穫が始まる。
      大豆は完熟すると莢が割れて実が落ちてしまうので、とうもろこしより先に収穫が行われ、そのピークは10月前半である。

    なお、急速に生産量が増加しているブラジルやアルゼンチンは、北米に位置するアメリカとは季節が逆になるため生育シーズンも6ヶ月ずれることになる。播種期は10月から12月、開花・着莢期は1月から2月、収穫期は3月から5月になる。

第2項 大豆の需給
  1. 世界の大豆需給動向

    1. 生産量

      世界の大豆生産量は、旺盛な飼料需要(大豆ミール)と可食油需要(大豆油)に牽引される形で増加している。

      世界の大豆生産量(2011/12年度)は、2億3915万トンであり、この20数年間で約2.3倍に増加している。世界最大の生産国は米国(8,419万トン、世界シェア35%)、第2位ブラジルで(6,650万トン、同28%)、第3位アルゼンチン(4,010万トン、同17%)、第4位中国(1,448万トン、同6%)であり、上位4カ国で世界生産量の約86%を占めている。

      米国のシェアは、1990年代までは50%超、2000年代初頭は40%超であったが、南米のブラジルとアルゼンチンの生産量拡大によりシェアを落としている。特に、大干ばつに見舞われた2012/13年は、生産量が8,256万トン(同31%)まで落ち込み、ブラジルに並ばれる見通しである。

      表13 世界大豆生産量推移

      単位:1,000トン

        2007/2008 2008/2009 2009/2010 2010/2011 2011/2012 2012/2013
      (見通し)
      2013/2014
      (予想)
      世界合計 219,552 211,602 260,403 263,924 239,152 267,884 283,542
      米国 72,859 80,749 91,417 90,605 84,192 82,561 88,661
      ブラジル 61,000 57,800 69,000 75,300 66,500 82,000 88,000
      アルゼンチン 46,200 32,000 54,500 49,000 40,100 49,300 53,500
      中国 13,400 15,540 14,980 15,100 14,480 12,800 12,200
      その他 26,093 25,513 30,506 33,919 33,880 41,223 41,181

      (出所)米国農務省(USDA), FAS, PSD Online

    2. 消費量

      1. 大豆の消費量

        大豆の消費は、大豆ミールと大豆油を生産する「圧搾需要」が中心であり、「食品需要」、「圧ぺん用の飼料需要」は相対的に少ないため、大豆消費量の動向を占う上で、大豆ミールと大豆油の需給動向が鍵となる。大豆ミールは、世界人口増加と食肉需要の増加に伴い飼料需要が増加しており、これに牽引される形で大豆消費量は増加傾向にある。

        世界の大豆消費量(2011/12年度)は2億5,696万トンと、この約20年間で約2.5倍に増加している。世界最大の消費国は中国(7,207万トン、世界シェア28%)、第2位米国(4,872万トン、同19%)、第3位ブラジル(4,103万トン、同16%)、第4位アルゼンチン(3,750万トン、同15%)であり、上位4カ国で76%を占めている。中国は、国内の圧搾需要が急増した結果、2000/01年度にブラジル、2008/09度に米国を抜き、それ以降、世界最大の大豆消費国の地位を維持している。

        表14 世界大豆消費量推移

        単位:1,000トン

          2007/2008 2008/2009 2009/2010 2010/2011 2011/2012 2012/2013
        (見通し)
        2013/2014
        (予想)
        世界合計 229,745 221,210 237,703 251,448 256,955 258,444 269,993
        中国 49,818 51,435 59,430 65,950 72,070 76,130 79,500
        米国 51,627 48,112 50,671 48,295 48,723 48,416 48,804
        ブラジル 34,917 34,669 36,550 39,230 41,033 37,650 40,100
        アルゼンチン 36,161 32,823 35,724 39,213 37,504 35,202 40,177
        EU 16,209 14,177 13,487 13,580 13,234 13,690 13,150
        インド 9,530 8,533 8,775 10,850 11,150 11,350 11,250
        その他 31,483 31,461 33,066 34,330 33,241 36,006 37,012

        (出所)USDA, FAS, PSD Online

      2. 大豆ミールの需給動向

        大豆1bu(60ポンド)を圧搾すると、44ポンド(20kg)の大豆ミール(ハイプロ)が生産される。
        2011/12年度の世界の大豆ミール需給動向は表15のとおり。

        表15 世界の大豆ミール需給動向

        単位:1,000トン

        生産量 消費量 輸出量 輸入量
        世界合計 180,197 世界合計 177,305 世界合計 58,312 世界合計 56,832
        中国 48,288 中国 47,435 アルゼンチン 26,043 EU 20,962
        米国 37,217 EU 29,960 ブラジル 14,678 インドネシア 3,278
        ブラジル 29,510 米国 28,621 米国 8,838 タイ 2,936
        アルゼンチン 27,945 ブラジル 14,100 インド 4,391 日本 2,282
        EU 9,674 メキシコ 4,370 ボリビア 1,262 ベトナム 2,200
        インド 7,680 タイ 4,153 中国 966 イラン 2,192
        その他 19,883 その他 48,666 その他 2,134 その他 22,982
        1. 生産量

          世界の大豆ミール生産量(2011/12年度)は1億8,020万トンであり、中国、米国、ブラジル、アルゼンチンの上位4カ国で約80%を占めている。
          中国の生産量拡大は著しく、1990/91年度は僅か約300万トンであったのが、2009/10年度には米国を抜いて世界最大の大豆ミール生産国になった。なお、米国と南米2カ国は自国で生産した大豆から大豆ミールを生産する「生産地型」であるのに対し、中国は輸入大豆から大豆ミールを生産する「消費地・輸入地型」である。

        2. 消費量

          世界の大豆ミール消費量(2011/12年)は1億7,731万トンであり、中国、EU、米国、ブラジルの上位4カ国(地域)で約68%を占めている。
          大豆ミールの国内生産量に占める国内消費量の比率は、中国が約98%、米国が約70%、ブラジルが約53%であるのに対して、アルゼンチンは4%と極端に低い。

        3. 輸出量・輸入量

          世界の大豆ミール輸出量(2011/12年度)は5,831万トンであり、アルゼンチン、ブラジル、米国の上位3カ国で85%を占めている。アルゼンチンは国内生産量の95%を輸出に振り向けている。
          一方、世界の大豆ミール輸入量は5,683万トンであり、EU、インドネシア、タイとなっており、EUが37%のシェア有している。

      3. 大豆油の需給動向

        1. 生産量

          大豆1bu(60ポンド)を圧搾すると、11ポンド(5kg)の大豆油が生産される。
          2011/12年度の世界の大豆油需給動向は表16のとおり。

          表16 大豆油需給動向(2011/12年度)

          単位:1,000トン

          生産量 消費量 輸出量 輸入量
          世界合計 42,555 世界合計 41,934 世界合計 8,490 世界合計 8,037
          中国 10,914 中国 11,944 アルゼンチン 3,787 中国 1,502
          米国 8,954 米国 8,306 ブラジル 1,885 インド 1,174
          ブラジル 7,310 ブラジル 5,400 EU 747 アルジェリア 438
          アルゼンチン 6,839 アルゼンチン 3,020 米国 664 バングラディシュ 420
          EU 2,226 インド 2,750 ボリビア 235 ベネズエラ 415
          インド 1,710 EU 1,988 マレーシア 146 イラン 411
          その他 4,602 その他 8,526 その他 1,026 その他 3,677
          1. 生産量

            世界の大豆油生産量(2011/12年度)は4,256万トンであり、中国、米国、ブラジル、アルゼンチンの上位4カ国で約80%を占めている。大豆ミールと同じく、中国の生産量の伸びが突出している。

          2. 消費量

            世界の大豆油消費量(2011/12年度)は4,193万トンであり、中国、米国、ブラジル、アルゼンチン、インドの上位5カ国で75%を占めている。中国の消費量は生産量の伸びと同じく突出している。アルゼンチンは、大豆ミールをほぼ全量輸出しているのに対し、大豆油は生産量の約半分をバイオディーゼル用として国内消費に回している。

          3. 輸出量・輸入量

            世界の大豆油輸出量(2011/12年度)は849万トンであり、アルゼンチン、ブラジルの上位2カ国で約67%を占めている。
            一方、世界の大豆油輸入量は804万トンであり、中国、インド、アルジェリア、バングラディシュ、ベネズエラの上位5カ国で約50%を占めている。中国は大豆ミールは自給しているが、同時に生産される大豆油はまだ不足しており、その不足分を輸入している。

    3. 輸出量

      世界の大豆輸出量(2011/12年度)は9,227万トンと、この約20年間で約3.8倍に増加している。世界最大の輸出国は米国で(3,715万トン、世界シェア40%)、第2位ブラジル(3,632万トン、同39%)、第3位アルゼンチン(737万トン、同8%)となっており、上位3カ国で87%以上のシェアを有する寡占的な構造となっている。

      従来、大豆輸出市場では、米国がシェア80%超と圧倒的な地位を有していたが、近年、ブラジル等の輸出拡大により地位が脅かされている。米国が大干ばつに見舞われた2012/13年度は、米国の輸出量が3,591万トンと大幅に減少する見通しであり、4,190万トンの輸出見込みであるブラジルが世界最大の大豆輸出国になると予想されている。

      表17 世界大豆輸出量推移

      単位:1,000トン

        2007/2008 2008/2009 2009/2010 2010/2011 2011/2012 2012/2013
      (見通し)
      2013/2014
      (予想)
      世界合計 78,321 77,212 91,437 91,700 92,267 99,950 107,827
      米国 31,538 34,817 40,798 40,957 37,150 35,913 39,463
      ブラジル 25,364 29,987 28,578 29,951 36,315 41,904 44,000
      アルゼンチン 13,839 5,590 13,088 9,205 7,368 7,850 9,700
      その他 7,580 6,818 8,973 11,587 11,434 14,283 14,664

      (出所)USDA, FAS, PSD Online

    4. 輸入量

      世界の大豆輸入量(2011/12年度)は9,342万トンと、この約20年間で約3.6倍に増加している。世界最大の輸入国は中国(5,923万トン、世界シェア64%)、第2位EU(1,207万トン、同13%)、第3位メキシコ(361万トン、同4%)、第4位日本(276万トン、同3%)となっている。中国以外の国の輸入量がほぼ横ばいで推移していることから、世界大豆輸入量の増加分はほぼ中国の輸入量増加分に相当すると考えられる。

      表18 世界大豆輸入量推移

      単位:1,000トン

        2007/2008 2008/2009 2009/2010 2010/2011 2011/2012 2012/2013
      (見通し)
      2013/2014
      (予想)
      世界合計 78,344 77,394 86,841 88,821 93,426 95,465 104,402
      中国 37,816 41,098 50,338 52,339 59,231 59,865 69,000
      EU 15,139 13,213 12,683 12,472 12,070 12,450 12,100
      メキシコ 3,614 3,327 3,523 3,498 3,606 3,350 3,550
      日本 4,014 3,396 3,401 2,917 2,759 2,865 2,760
      その他 17,761 16,360 16,896 17,595 15,760 16,935 16,992

      (出所)USDA, FAS, PSD Online

      図13 大豆、大豆ミール、大豆需給相関図(2012/13年度)

  2. 米国産大豆需給動向

    米国農務省(USDA)が提供している米国産大豆に関する統計情報は、重量がブッシェル(bu)、面積がエーカー(acre)で提供されていることに注意する必要がある。

    大豆に関する重量、面積換算
    重量:1ブッシェル(bu)= 27.2kg、1トン=36.7437bu
    面積:1エーカー(acre)=0.4047ha

    表19 米国産大豆の需給

    SOYBEANS(大豆) 2007/08 2008/09 2009/10 2010/11 2011/12 2012/13
    Est
    2013/14
    Proj
      Million Acres(単位:百万エーカー)
    Area Planted(作付面積) 64.7 75.7 77.5 77.4 75 77.2 76.5
    Area Harvested(収穫面積) 64.1 74.7 76.4 76.6 73.8 76.1 75.7
      Bushels(単位:ブッシェル)
    Yield per Harvested Acre(単収 bu/acre) 41.7 39.7 44 43.5 41.9 39.6 43
      Million Bushels(単位:百万ブッシェル)
    Beginning Stocks(期初在庫) 574 205 138 151 215 169 141
    Production(生産量) 2,677 2,967 3,359 3,329 3,094 3,034 3,258
    Imports(輸入量) 10 13 15 14 16 36 15
     Supply, Total(供給 計) 3,261 3,185 3,512 3,495 3,325 3,239 3,413
    Crushings(圧搾量) 1,803 1,662 1,752 1,648 1,703 1,689 1,685
    Exports(輸出量) 1,159 1,283 1,499 1,501 1,365 1,320 1,450
    Seed(種子用) 93 90 90 87 90 89 87
    Residual(その他) 0 12 20 43 -2 1 22
     Use, Total(使用量 計) 3,056 3,047 3,361 3,280 3,155 3,098 3,243
    Ending Stocks(期末在庫) 205 138 151 215 169 141 170
    Avg. Farm Price($/bu)(農家平均価格) 10.1 9.97 9.59 11.3 12.5 14.4 11.15-13.15

    (出所)USDA, OCE, WASDE(2013年11月)より作成

    1. 供給

      1. 作付面積・収穫面積

        米国産大豆の作付面積は、1960年代から70年代にかけて約3倍になり、7,000万エーカー(約2,833万ha)に達した。その後、80年代に停滞して6,000万エーカー(2,429万ha)を割り込んだが、90年代から2000年代にかけて再び増加し、2009/10年には史上最高の7,745万エーカー(3,143万ha)に達している。大豆は、とうもろこしのようにサイレージ目的で青刈りされることがないため、作付面積占める収穫面積の割合は約98%と高い。

        図14 米国産大豆作付面積・収穫面積

        (出所)USDA, ERS, Oil Crops Yearbook Table

      2. 生産量・単収

        米国産大豆の生産量は、2009/10年度に史上最高の33億5,901万bu(9,142万トン)を記録している。2012/13年度は1930年代以来最悪といわれる大干ばつの影響で減産となったが、作付面積が高水準であったことから30億buは維持する見通しである。

        単収は、1990年代に遺伝子組換え品種が普及してからは40bu/エーカー近辺で推移しており、2009/10年度には史上最高の44bu/エーカー(2.96トン/ha)を記録した。

        2012/13年度は大干ばつの影響により39.8bu/エーカーに減少する見通しであるが、とうもろこしよりも単収の減少率は小さい。

        図15 米国産大豆の生産量及び単収

        (出所)USDA, ERS, Oil Crops Yearbook Table

      3. 生産地域・州別生産量

        米国産大豆の生産地域は、北はカナダ国境から南はメキシコ国境までと非常に広く、なかでも中西部の「コーンベルト」と重なる「ビーンベルト」と呼ばれる地域が主要産地になっている。生産量はアイオワ州、イリノイ州、ミネソタ州、ネブラスカ州の順となっており、この4州で全米の44%を占めている。

        表20  全米及び州別生産量(主要州)

        単位:1000bu

          2008 2009 2010 2011 2012 2011年
        シェア
        全米 2,967,007 3,359,011 3,329,181 3,093,524 3,014,998 100%
        アイオワ 449,655 486,030 496,230 475,345 413,850 14%
        イリノイ 428,640 430,100 466,075 423,225 383,560 13%
        ミネソタ 264,860 284,800 328,950 274,560 300,570 10%
        ネブラスカ 225,990 259,420 267,750 261,360 207,085 7%
        インディアナ 244,350 266,560 258,505 240,695 223,590 7%
        オハイオ 161,280 221,970 220,320 217,920 206,100 7%
        ミズーリ 191,140 230,550 210,405 190,165 155,170 5%
        サウスダコタ 138,040 175,980 157,320 150,590 141,300 5%
        アーカンソー 123,500 122,625 110,250 126,280 135,880 5%
        ノースダコタ 105,280 116,100 138,380 114,840 160,820 5%
        カンザス 120,250 160,600 138,125 101,520 83,820 3%
        ミシガン 69,930 79,600 88,740 85,360 85,570 3%
        ウィスコンシン 55,650 64,800 82,315 74,865 70,550 2%
        ミシシッピー 78,400 77,140 76,230 70,200 87,750 3%

        (出所)USDA, NASS, Crop Production 2012 Summary

        図16 米国産大豆生産地域

        (出所)USDA, OCE, Major World Crop Areas and Climate Profiles

    2. 需要

      米国農務省は、「合計需要(use total)」を「圧搾(Crushing)」、「輸出(Exports)」、「種子(Seed)」、「その他(Residual)」に4分類してデータを提供している。

      米国産大豆の合計需要は、右肩上がりで増加し、2009/10年度には33億6100万bu(9147万トン)を記録した。しかし、大干ばつに見舞われた2012/13年度は需要量も30億9800万bu(8421万トン)に落ち込む見通しである。

      最大の需要項目は「大豆ミール」と「大豆油」を生産するための圧搾需要であり、合計需要の50%から60%を占めている。輸出需要は35%から46%を占めているが、2007/08年度以降、圧搾需要減・輸出需要増の傾向が見られる。

      図17 米国産大豆の需要推移

      (出所)USDA, ERS, Oil Crops Yearbook Table

      1. 圧搾

        圧搾とは、大豆から大豆ミールと大豆油を生産する工程を意味する。昔は、大豆を潰して大豆油を抽出していたが、今はヘキサンを利用した化学的抽出法が用いられている。米国における圧搾数量の月間統計データは、全米油糧種子加工業者協会(NOPA)が毎月15日にThomson Reuters社を通じて提供している。

        2011/12年度の圧搾量は17億300万ブッシェル(4,635万トン)である。圧搾動向を占う指標としては、製品価格(大豆油及び大豆ミール)と原料価格(大豆)の差から大豆圧搾工場の粗利益を計る「圧搾マージン(Gross processing margin, GPM)」がある。ただし、圧搾マージンは圧搾工場ごとに異なるため、全米の全体的なGPMの指標として、CBOTの大豆先物価格、大豆ミール先物価格、大豆油先物価格を利用して算出された「ボード・マージン」が利用される。

        GPMが圧搾コストを上回れば、圧搾工場は圧搾量を増やすので、その分大豆の国内需要が増加する。一般的に、GPMの損益分岐点は40セント/buといわれている。

        (参考)圧搾マージン(GPM)の算出方法

        1. 前提
          1bu(60ポンド=27.2kg)の大豆を圧搾すると、11ポンド(5kg)の大豆油と44ポンド(20kg)の大豆ミール(ハイプロ)が生産される。
        2. 単位の統一(大豆油と大豆ミールの価格をドル/buに換算)
          ①大豆(セント/bu)   :換算の必要なし
          ②大豆油(セント/ポンド) :11ポンド×大豆油価格
          ③大豆ミール(ドル/ショートトン) :44ポンド(ハイプロ)/2000ポンド×大豆ミール価格
          =0.022×大豆ミール価格
          ※ 1ショートトン=2,000ポンド=0.907トン
        3. 圧搾マージン(GPM)の計算
          GPM=(大豆ミール価格×0.022+大豆油価格×11)-大豆価格
        4. 具体例(ボードマージン)
          ①シカゴ大豆価格(11月限)               :$12.4325/bu
          ②シカゴ大豆油価格(12月限)           :$0.4568/ポンド
          ③シカゴ大豆ミール価格(12月限)     :$366/ショートトン
        5. 単位換算
          ①シカゴ大豆価格(11月限)               :換算の必要なし
          ②シカゴ大豆油価格(12月限)           :11ポンド×$0.4568/ポンド=$5.0248ル
          ③シカゴ大豆ミール価格(12月限)     :0.022×$366/ショートトン=$8.052ル
          GPM=($5.0248ル+$8.052)-$12.4325=$0.6443
        1. 米国における大豆ミールの需給動向

          大豆ミールは、配合飼料において、蛋白原料とアミノ酸を提供する副原料の代表格として欠かせない飼料原料である。大豆ミールには、植物蛋白の組成分が約44%(ロープロ)と約48%(ハイプロ)のものがあるが、米国では一般的にハイプロを用いている。
          米国産大豆ミールの需給動向は表21のとおり。

          表21 米国産大豆ミールの需給

          SOYBEANS MEAL(大豆) 2007/08 2008/09 2009/10 2010/11 2011/12 2012/13
          Est
          2013/14
          Proj
            単位:1000ショートトン
          Beginning Stocks(期初在庫) 343 294 235 302 350 300 275
          Production(生産量) 42,282 39,102 41,707 39,251 41,025 39,875 40,060
          Imports(輸入量) 141 88 160 180 216 250 165
           Supply, Total(供給 合計) 42,766 39,480 42,101 39,732 41,591 40,425 40,500
          Domestic Disappearance(国内消費量) 33,230 30,752 30,640 30,301 31,548 29,100 29,950
          Exports(輸出量) 9,242 8,497 11,160 9,081 9,743 11,050 10,250
           Use, Total(需要 合計) 42,472 39,249 41,800 39,382 41,291 40,150 40,200
          Ending Stocks(期末在庫) 294 235 302 350 300 275 300

          (出所)USDA, OCE, WASDE(2013年8月)より作成

          米国産大豆ミールの生産量(2011/12年度)は4,102万ショートトン(約3,722万トン)で、その内77%に相当する約3,155万ショートトン(2,862万トン)が飼料需要を中心とした国内需要、残りの24%に相当する974万ショートトン(約884万トン)がEU、メキシコ、フィリピン等へ輸出されている。
          世界大豆ミール輸出市場に占める米国産大豆ミールのシェアも15%程度と、1990年代の平均20%超と比較して低下している。

        2. 米国における大豆油の需給状況

          大豆油は、米国における植物油生産量の約70%を占めている。
          米国産大豆油の需給動向は表22のとおり。

          表22 米国産大豆油需給

          SOYBEANS OIL(大豆油) 2007/08 2008/09 2009/10 2010/11 2011/12 2012/13
          Est
          2013/14
          Proj
            単位:100万ポンド
          Beginning Stocks(期初在庫) 3,085 2,485 2,861 3,406 2,425 2,540 1,705
          Production(生産量) 20,571 18,745 19,615 18,888 19,740 19,820 19,380
          Imports(輸入量) 65 90 103 159 149 205 250
           Supply, Total(供給 合計) 23,721 21,319 22,578 22,463 22,314 22,565 21,335
          Domestic Disappearance(国内消費量) 18,326 16,265 15,814 16,795 18,310 18,660 18,550
          Biodiesel(バイオディーゼル) 3,245 2,013 1,680 2,737 4,870 4,600 5,600
          Food, Feed & other Industrial(食料・飼料・その他工業用)     14,134 14,058 13,440 14,060 12,950
          Exports(輸出量) 2,911 2,193 3,359 3,233 1,464 2,200 1,150
           Use, Total(需要 合計) 21,327 18,459 19,173 20,028 19,774 20,860 19,700
          Ending Stocks(期末在庫) 2,485 2,861 3,406 2,425 2,540 1,705 1,635

          (出所)USDA, OCE, WASDE(2013年8月)より作成

          米国産大豆油の生産量(2011/12年度)は197億ポンド(895万トン)であり、その内68%に相当する134億ポンド(610万トン)が食料・飼料・その他工業用、25%に相当する49億ポンド(221万トン)はバイオディーゼル用に用いられている。バイオディーゼル需要急増の背景には、「2005年エネルギー政策法(Energy policy act of 2005)」及び2007 年に成立した「2007年エネルギー自立・安全保障法(Energy Independence and Security Act of 2007)」によってバイオ燃料の使用量拡大が定められたことがある。

          輸出量は2011/12年度の約15億ポンド(66万トン)から2009/10年の34億ポンド(152万トン)まで年ごとの変動が大きい。世界大豆油輸出市場に占める米国産大豆油のシェアは1990年代の平均16%から直近では10%と低下傾向にある。

      2. 輸出

        米国産大豆の輸出量は増加傾向にあり、2010/11年度には史上最高の15億ブッシェル(4,096万トン)を記録している。需要合計に占める割合も、最近では45%前後になるまで増加している。

        輸出量の増加にもかかわらず、世界の大豆輸出市場に占める米国産大豆の地位は、南米大豆の輸出拡大によって低下している。1970年代に90%を超えていたシェアは、2012/13年度には36%まで低下しており、世界最大の大豆輸出国の座をブラジルに奪われると予想されている。

        米国産大豆の仕向け先は、中国(60%)、メキシコ(9%)、日本(5%)、インドネシア(5%)などである。

        図18 米国産大豆輸出量と世界シェア

        (出所)USDA, FAS, PSD Online

  3. 主要生産国・消費国の大豆需給動向

    1. 中国

      中国は、第二次世界大戦までは世界最大の大豆生産国であったが、2011/12年度の生産量は1,484万トンと第4位である。主な生産地域は旧満州地域である黒龍江省、遼寧省、吉林省の「東北三省」で、特に黒龍江省は40%強のシェアを有している。中国産大豆の多くは豆腐等の食品用に供されており、約930万トンの食品需要がある。

      表23 中国の大豆需給

      単位:1000トン

        2007/2008 2008/2009 2009/2010 2010/2011 2011/2012 2012/2013
      期初在庫 1,807 2,752 7,555 13,259 14,558 15,924
      生産量 13,400 15,540 14,980 15,100 14,480 12,800
      輸入量 37,816 41,098 50,338 52,339 59,231 59,865
      供給計 53,023 59,390 72,873 80,698 88,269 88.589
      圧搾 39,518 41,035 48,830 55,000 60,970 64,950
      飼料用 1,700 1,700 1,750 1,850 1,800 1,780
      食品用 8,600 8,700 8,850 9,100 9,300 9,400
      需要計 49,818 51,435 59,430 65,950 72,070 76,130
      輸出量 453 400 184 190 275 266
      期末在庫 2,752 7,555 13,259 14,558 15,924 12,193

      (出所)USDA, FAS, PSD Onlineから作成

      中国は、世界最大の大豆消費国・輸入国として世界の大豆需要に大きな影響を与えている。中国は、1995/96年度までは大豆の純輸出国であったが、WTO加盟を控えて、1996年に大豆輸入を許可制から関税割当制に移行すると大豆輸入が急増し、2001年にWTOに加盟して関税割当制を撤廃すると輸入に拍車がかかった。中国の大豆輸入量は、1995/96年の79万5,000トンから2011/12年の5,923万トンと15年間で75倍の規模に膨らんでおり、そのほぼ100%を米国、ブラジル、アルゼンチンに依存している。中国の大豆輸入急増の原因としては、畜産需要・水産需要の増加に伴う大豆ミールの飼料需要の拡大と、可食油である大豆油需要の拡大が挙げられる。中国は、大豆ミール需要を全量国内生産で賄い、余剰分の約100万トンを日本をはじめ海外に輸出している。一方、植物油生産の中で最大の40%超のシェアを有する大豆油は、生産量が増加しているものの国内需要全体を賄うには足りず、毎年150万トンから160万トンをアルゼンチンなどから輸入している。

    2. ブラジル

      ブラジルは米国に次ぐ世界第2位の大豆生産国である。ブラジルは南半球に位置するため、大豆の生育時期は北半球の米国とは正反対で、米国の収穫期である10月から12月が播種期にあたり、重要な生育ステージは1月、収穫期は米国の端境期である3月から4月が収穫期にあたる。主な生産地域は、マット・グロッソ州、パラナ州、リオグランドスル州、ゴイアス州、マット・グランドスル州、などであり、この5州で約70%を占めている。

      表24 ブラジルの大豆需給

      単位:1000トン

        2007/2008 2008/2009 2009/2010 2010/2011 2011/2012 2012/2013
      期初在庫 19,377 20,246 13,434 17,480 23,636 12,916
      生産量 61,000 57,800 69,000 75,300 66,500 82,000
      輸入量 150 44 174 37 128 395
      供給計 80,527 78,090 82,608 92,817 90,264 95,311
      圧搾 32,117 31,869 33,700 36,330 38,083 34,650
      飼料用 2,800 2,800 2,850 2,900 2,950 3,000
      需要計 34,917 34,669 36,550 39,230 41,033 37,650
      輸出量 25,364 29,987 28,578 29,951 36,315 41,904
      期末在庫 20,246 13,434 17,480 23,636 12,916 15,757

      (出所)USDA, FAS, PSD Onlineから作成

      ブラジルは、2012/13年度の大豆輸出量が4,190万トンになり、大干ばつで生産量が減少した米国を抜いて世界最大の大豆輸出国になる可能性が高い。ブラジル産大豆の仕向け先は中国(70%)、スペイン(7%)、タイ(3%)となっている。ちなみに、日本も約55万トンを輸入する第8位の仕向け先になっている。主な輸出港はブラジル南東部に位置するサントス港、パラナグア港、リオ・グランデ港である。

      ブラジルは、生産地が内陸部の中西部へ拡大しており、生産地から輸送港までの輸送インフラに問題を抱えている。米国と異なり、輸送の多くをトラックに依存しているため、輸送コストが高い。加えて、港湾インフラの未整備により、荷積みの遅延等の問題も発生している。

      ブラジルの2011/12年の大豆圧搾量は3,808万トンであり、2,951万トンの大豆ミールと731万トンの大豆油が生産されている。生産された大豆ミールの約半分は輸出され、残りの半分は国内消費されている。一方、大豆油は生産量の26%が輸出され、残りが国内消費されるが、国内需要のうち約60%強は食用、残りの40%弱はバイオディーゼル等の産業用に用いられている。

    3. アルゼンチン

      アルゼンチンは、ブラジルと同様に1970年代の大豆価格の高騰を契機として飛躍的な発展を遂げている。特に、1990年代にメネム政権が大豆及び大豆製品を含む農産加工品の輸出税と農業投入財の輸入税を引き下げてから大豆生産量が飛躍的に拡大した。現在では、米国、ブラジルに次ぐ世界第3位の大豆生産国であり、2009/10年度は史上最高の5,450万トンの大豆を生産している。

      アルゼンチンは南半球に位置するため、大豆の生育時期は北半球の米国とは正反対で、作付期が11月から12月、収穫期は4月から5月である。主な生産地域は、コルドバ州、ブエノス・アイレス州、サンタフェ州の3州であり、この3州で約80%を占めている。

      表25 アルゼンチンの大豆需給

      単位:1000トン

        2007/2008 2008/2009 2009/2010 2010/2011 2011/2012 2012/2013
      期初在庫 22,606 21,760 16,588 22,277 22,872 18,100
      生産量 46,200 32,000 54,500 49,000 40,100 49,300
      輸入量 2,954 1,241 1 13 0 2
      供給計 71,760 55,001 71,089 71,290 62,972 67,402
      圧搾 34,607 31,243 34,127 37,614 35,886 33,550
      飼料用 1,554 1,580 1,597 1,599 1,618 1,652
      需要計 36,161 32,823 35,724 39,213 37,504 35,202
      輸出量 13,839 5,590 13,088 9,205 7,368 7,850
      期末在庫 21,760 16,588 22,277 22,872 18,100 24,350

      (出所)USDA, FAS, PSD Onlineから作成

      アルゼンチンは、米国、ブラジルに次ぐ世界第3位の大豆輸出国であるが、生産量の80%以上は圧搾を中心とした国内消費に回される、生産量に占める輸出量の割合は20%弱と低い。

      アルゼンチンは、大豆ミール及び大豆油の生産国としては世界第4位であるが、輸出国としては世界最大である。アルゼンチンは、大豆ミール生産量のほぼ全量を輸出しているのに対し、大豆油は生産量の約60%を輸出、残りを国内消費(バイオディーゼル向け)に回している。

  4. 日本の大豆需給動向

    1. 供給

      日本は大豆の90%以上を輸入に依存している。国内生産量は20万トン台前半で安定的に推移しているものの、輸入量は2003年の517万トンから2012年は272万トンと、製油用大豆を中心にほぼ半減している。

      輸入大豆の国別シェアは、米国産大豆が従来の80%超から65%まで低下しており、代わって、製油用を中心にブラジル産が10%から20%、食品用を中心にカナダ産が3%から14%に拡大している。

      表26 日本の大豆需給

        2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
      需 要 製油用 2,802 2,485 2,473 2,067 1,935
      食品用 1,037 993 976 950 932
      飼料用 114 115 113 106 108
      輸出 0 0 0 0 0
      需要計 3,953 3,593 3,562 3,123 2,975
      供 給 国内生産量 227 262 230 223 219
      輸入 3,711 3,390 3,456 2,831 2,727
      ロス(▲) ▲74 ▲68 ▲69 ▲57 ▲55
      供給計 3,864 3,584 3,617 2,997 2,891
        期末在庫 179 223 234 166 182

      (出所)我が国の油脂事情、財務省貿易統計、農水省作物統計、農水省油糧生産実績調査

      図19 日本の大豆輸入量推移

      (出所)財務省貿易統計

    2. 需要

      1. 製油用需要

        大豆の国内圧搾量は、2005年の約308万トンから2012年の194万トンと大幅に減少しており、これに伴い、大豆ミール生産量も236万トンから146万トン、大豆油生産量も57万トンから38万トン大幅に減少している。

        大豆油の減少要因としては、植物油全体の供給量が減少したこと(2002年:187万トン⇒2011年:164万トン)、国内製油がオイルバリューの高い菜種へシフトしたこと(2002年:87万トン⇒2011年:103万トン)、パーム油輸入が増加したこと(2002年:42万トン⇒2011年:59万トン)などが挙げられる。

        大豆ミールは、飼料需要が旺盛なため、国内生産量の減少分をインド、中国、米国、ブラジル、アルゼンチンからの輸入で補っている。大豆ミール輸入量は、2009年に国内生産量を上回り、それ以降も差が拡大している。

      2. 食品用需要

        大豆の食品用需要も減少しており、現在では100万トンを割り込んでいる。ただし、製油用のように代替原料があるわけではないので減少幅は比較的小幅にとどまっている。製油用には、遺伝子組換え大豆・遺伝子組換え不分別大豆が用いられているが、食品用には非遺伝子組換え大豆が用いられている。

        国産大豆はほぼ全量が食品用に用いられており、輸入大豆ではカナダ産のシェアが高い。従来シェアが高かった米国産と中国産のシェアは減少傾向にあり、南米産は僅か1%にとどまっている。

        用途としては、豆腐・油揚げ用が50%以上を占め、次いで納豆用、味噌用となっている。食品用大豆には様々な種類があり、用途ごとに使用される品種が異なっている。

        表27 日本における油糧生産実績

        SOYBEANS OIL(大豆油) 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
        大豆国内圧搾量 3,080,450 2,974,171 3,043,522 2,802,284 2,485,203 2,473,480 2,067,428 1,935,352
        大豆油 国内生産量 575,302 575,739 576,344 542,335 476,936 467,707 401,455 376,484
        輸入量   51,643 59,674 42,250 50,781 35,597 18,314 19,820 23,568
        中国 25,578 44,958 24,898 26,422 22,054 9,091 5,168 9,153
        台湾 2,879 3,086 5,079 3,848 4,261 3,974 6,266 7,860
        米国 8,885 6,694 6,831 10,194 7,210 4,661 3,012 2,600
        マレーシア 10,226 3,277 3,831 5,411 940 105 953 1,368
        その他 4,075 1,659 1,611 5,803 1,122 483 4,421 2,587
        大豆ミール 国内生産量 2,355,207 2,257,923 2,303,389 2,137,250 1,879,804 1,867,882 1,584,103 1,462,309
        輸入量   1,630,225 1,647,492 1,705,579 1,682,004 1,914,810 2,186,075 2,204,493 2,108,599
        インド 389,877 610,583 626,144 902,711 647,949 817,435 1,298,524 792,653
        中国 491,300 307,619 565,251 289,423 687,269 780,246 245,762 672,795
        米国 552,172 526,252 431,097 453,246 410,161 428,443 376,556 288,437
        ブラジル 121,947 111,538 649 242 42,734 71,811 195,908 202,978
        アルゼンチン 58,143 90,114 71,791 8,136 81,183 40,387 39,963 112,141
        その他 16,786 1,386 10,647 28,246 45,514 47,753 47,780 39,595

        (出所)農林水産省 油糧生産実績

        図20 日本における食品用大豆の輸入シェア・用途

        大豆油糧日報、貿易統計

第3項 大豆の価格変動要因
  1. シカゴの大豆先物価格

    大豆の国際的な指標価格はシカゴのCMEグループに属するシカゴ商品取引所(CBOT)で形成されている。したがって、シカゴの大豆先物価格の動向は東京商品取引所の一般大豆先物価格にも大きな影響を与えている。

    CBOTの大豆先物の限月構成は、1月限、3月限、5月限、7月限、8月限、9月限、11月限となっており、11月限が新穀限月に位置づけられている。一方、東京商品取引所の限月構成は、2月限、4月限、6月限、8月限、10月限、12月限であり、12月限が新穀限月に位置づけられている。

    下記はCBOT大豆先物価格(期近)の過去50年の推移であるが、1970年代初頭と2000年代中旬以降の2回にわたって大豆相場の値位置が大きく切り上がっている。
    CBOT大豆先物価格自体は、需給要因、天候要因、テクニカル要因などの影響を受けて変動する。

    図21 CBOT大豆先物価格(期近)推移

    (出所)Bloomberg

  2. 需給要因

    農産物価格は、「需給に始まり需給に終わる」といわれるように、需給バランスが穀物価格の基調を変化させている。

    大豆の需要は、人口増加、新興国等の畜産需要及び大豆油需要拡大などの要因により増加基調にある。供給も、堅調な需要増加に牽引されて、生産地・生産面積の拡大や遺伝子組換え品種の導入による単収増もあって増産基調にある。ただし、需要は安定的な増加傾向にあるのに対して、供給は天候に左右されて大きく変動するので需給のミスマッチが発生する。需給のミスマッチは在庫の増減に反映され、在庫の増減は大豆価格に直接的な影響を与える。豊作による需給緩和と在庫増は売りを誘って値下がりし、不作による需給逼迫と在庫減は先高期待から買いを誘って値上がりする。他方、価格の高騰は需要の抑制と生産者の供給意欲を促し、価格の下落は需要を喚起して生産者の供給意欲を減退させる。このような「価格メカニズム」を通して需給バランスは調整される。

    1. 米国の需給

      米国は世界最大の大豆生産国・輸出国(2012/13年度を除く)であり、その動向は大豆の国際需給と国際大豆価格に大きな影響を与えている。米国の大豆価格は、供給主導の「天候相場」と需要(在庫)主導の「需給相場」に分けられる。

      1. 天候相場

        「天候相場」は、4月から9月までの6ヶ月間にわたる「供給主導の相場」である。前年に収穫された大豆の在庫状況を踏まえ、その年の生産量を予測しながら将来の供給動向と価格を予想する。この期間は、天候の変化に一喜一憂して、相場展開は荒くなりやすい。特に、前年が不作で在庫率が低下しているときほど、その傾向が強い。
        大豆の生産量は「収穫面積×単収」で計算されるため、その年の生産量を予測するにあたって2つの材料に注目する必要がある。

        1. 作付面積の動向

          作付面積を左右するのは、作付け時の「大豆価格」、「競合農産物との価格関係(とうもろこし・大豆比価等)」、「天候」である。米国の農家は地力維持を目的とした輪作体系を前提としながらも、収益極大化のためにとうもろこしを作付したがる傾向が強い。種子、肥料、農薬などの投入コストは高いが、単収が多いために、天候に恵まれれば生産量増と収入増が期待できるからである。この結果、とうもろこしの作付面積が増加は大豆の作付面積の減少要因になる。

          米国中西部では、大豆の作付けは5月から6月上旬にかけて、とうもろこしより10日ほど遅れて開始される。この時期、遅霜や降雨によってとうもろこしの作付けが難しくなると、生産者はとうもろこしを諦めて大豆にシフトする傾向があるので、大豆の作付面積は増加する。ただし、最近では農機具の大型化による作付け能力向上により、短期間での作付け進捗が可能になったため、以前ほど作付け時の天候は重要視されなくなっている。

          米国農務省は、大豆の作付けに関する情報として、3月末から6月末にかけて「作付意向面積(3月末)」、「作付進捗状況」、「確定作付面積(6月末)」を公表している。(詳細:第4節 米国農務省報告)

        2. 単収を左右する作柄確定までの天候の動向

          大豆の単収は、遺伝子組換え品種の導入によって増加したが、依然として天候が与える影響は大きい。単収増加・減少の条件は以下のとおり。

          単収増加の条件 単収減少の条件
          ①作付けが早期に終了すること。
          ②日照に恵まれて勢いよく草丈が伸び、葉が茂ること。
          ③開花・着サヤ期(8月)に十分な降雨があるjこと。 ④開花・着サヤ後の結実期に暖かい日が続くこと。
          ①低温や長雨で作付けが遅れること。
          ②日照不足で育ちが悪いこと。
          ③開花・着サヤ期(8月)に雨が降らず高温になること。
          ④開花・着サヤ後の結実期に低温の被害を受けること。

          米国農務省は、大豆の生育ステージごとの情報として、4月から11月末にかけて「生育状況」を公表している。(詳細:第4節 米国農務省報告)

      2. 需給相場

        「需給相場」は、大豆やとうもろこしの収穫がピークを迎える10月半ばから4月の新穀の作付期までの6ヶ月間にわたる「在庫主導の相場」である。収穫が完了して生産量が固まるので、この時期は、収穫された新穀が4月までにどれだけ「消費」、「輸出」され、その結果「在庫水準」がどのように変動するかが相場展開のポイントとなる。

        1. 圧搾需要

          米国は中国に次ぐ世界第二位の大豆消費国である。大豆の主な消費用途は圧搾である。圧搾量は大豆ミールの飼料需要、大豆油の食用需要及びバイオディーゼル需要に左右され、そのデータを全米油糧種子加工協会(NOPA)が毎月のデータをホームページで公表していたが、2013年2月からトムソン・ロイター社が有料で提供している(http://commoditiesupdates.thomsonreuters.com/nopa/)。

        2. 輸出需要

          米国は世界最大の大豆輸出国である。輸出需要は圧搾需要と並ぶ需要項目の大きな構成要素として、長期の動向とそれによる米国内在庫の変化という点で非常に注目されている。前年比で見た輸出量の増減や、世界最大の大豆輸入国・消費国である中国向けの大口輸出成約のニュースに価格が反応することもあるので、米国農務省が公表している「週間輸出検証高」や「週間輸出成約高」を確認する必要がある。(詳細:第4節 米国農務省報告)

        3. 在庫動向

          全体的な大豆在庫の推移は、米国農務省が四半期ごとに公表している「全米穀物在庫」で確認できる。8月末の期末在庫については、米国農務省が毎月公表している「世界農産物需給予測」で見通しを確認することができる。(詳細:第4節 米国農務省報告)
          期末在庫を消費量で除した「期末在庫率(Stock to use ratio)」は重要な判断材料であり、大豆は10%から15%が適正水準で、10%を下回ると逼迫状況にあるといわれている。

    2. 中国の需給

      中国は、大豆ミール需要の増加と大豆油需要の増加に牽引されて、2008/09年に米国を抜いて世界最大の大豆消費国となった。中国は、自給政策を掲げるとうもろこしとは異なり、大豆の自給を諦めたため輸入量が増加している。中国は、大豆の輸入を米国、ブラジル、アルゼンチンの3カ国にほぼ100%依存しており、中国の輸入動向が大豆価格に与える影響は大きい。
      また、中国は国内の食用油高騰への対応等で、大豆の国家備蓄放出を行うことがあり、このようなニュースが流れると大豆価格の下落要因になる。

    3. 南米の需給

      南半球に位置する南米は、北半球の米国とは生育サイクルが逆になるため、米国の出来秋以降の需給相場期が南米にとっての天候相場期にあたる。世界の大豆需要が拡大する中で、南米のブラジルとアルゼンチンを合わせた大豆生産量と輸出量は、世界全体の約50%に相当することから、南米の天候相場期における天候と作柄に関する情報が価格に影響を与える。
      また、ブラジルでは、輸送インフラ及び港湾インフラの未整備による荷積みの遅延等の問題が発生しており、これらのニュースは大豆価格の上昇要因になる。

    4. 日本の需給

      日本の大豆需要は減少している。特に、製油用需要は国内圧搾量が200万トンを下回るまで減少している。また、米国産のシェアが低下する一方でブラジル産のシェアが増加している。
      食品用大豆は依然として100万トン弱あるが、ほぼ全量が非遺伝子組換え大豆が用いられている。

  3. 天候要因

    大豆の生育を占う上で重要なポイントは以下のとおり。

    1. 作付け時の長雨

      作付け時に低温多雨型の天気が続くと、作付け作業がはかどらず、その後の生育日数を制約することになる。作付けが遅れると発芽が遅れ、着莢数も減少し、単収の低下につながる。農家は、開花期が夏場の高温・乾燥を避けるよう、とうもろこしと同様に作付けを早める傾向にある。

    2. 夏場の気温・降水量

      大豆の最も重要な生育ステージである7月から8月にかけての「開花・着莢期」に高温・乾燥の干ばつに見舞われると、ストレスによって開花・受粉が阻害され、落花現象がおこり着莢不良を招いて単収が低下する。特に8月の降水量は単収に大きな影響を与える。

    3. 秋の早霜と収穫時の長雨

      8月末から9月初旬の早霜は大豆の生育を阻害し、未熟粒のままでの刈り取りを余儀なくされるリスクを伴う。また、収穫時に雨が続くと、収穫ロスの発生や品質の低下につながる。

  4. バイオディーゼル需要

    とうもろこしのエタノール需要ほど目立たないが、大豆にもバイオディーゼル需要がある。エタノールはガソリンと混合されるのに対し、バイオディーゼルは石油ディーゼルと混合される。

    米国は、安全保障上の観点から、エネルギー自給化政策を推進する目的で「2005年エネルギー政策法(Energy policy act of 2005)」を成立させた。これにより、バイオエタノールやバイオディーゼルなどの再生可能燃料の使用を義務付ける「再生可能燃料基準(RFS)」が設定された。現在では、米国における大豆油消費量の約27%はバイオディーゼル向けに消費されている。
    また、米国以外でも、南米のブラジル及びアルゼンチンにおいて、バイオディーゼルの生産量が増加している。

    図22 米国におけるバイオディーゼル生産量及び大豆油使用量

    (出所)Agricolture’s Supply and Demand for Energy and Energy Products, USDA

  5. 為替及びフレート

    1. 輸入大豆換算価格

      (CBOT大豆+C&Fプレミアム)×ブッシェル/トン換算×為替×CIF係数

      上記は、日本が米国から大豆を輸入する際の換算式であるが、2013年3月22日時点のデータ(下記①から⑤)を用いると以下のように計算できる。
      ① CBOT大豆:$13.8/bu
      ② C&Fプレミアム(FOBプレミアム+フレート):$2.25/bu(=$1.45+$0.8)
      ・FOBプレミアム :$0.8/bu
      ・フレート :$54/ロングトン(1ロングトン≒37.333bu)=$1.45/bu(=$54÷37.333bu)
      ③ ブッシェル/トン換算 : 36.7454 (1bu=27.2155kg)
      ④ 為替:96円
      ⑤ CIF係数(保険等):1.05

      輸入換算価格:($13.8+$2.25)×36.7454×96円×1.05=59,448円/トン

      なお、この輸入大豆換算式において、CBOT大豆価格以外の諸条件が一定だとすると、CBOT大豆価格の10セントの値上がりは、約370円/トンの値上がり要因になる。

    2. 為替

      大豆の国際取引はドル建てで行われているため、ドル安になると米国産大豆の価格競争力が増して米国産大豆に対する需要が強まりドル建て大豆価格の上昇要因となる。

      一方、大豆を輸入する日本から見ると、ドル安(円高)は円建て価格の下落要因となる。東京商品取引所の一般大豆先物価格は円建てで取引されているため、他の条件に大きな変化がなければ、円建て大豆価格にとってドル安(円高)は価格下落要因、ドル高(円安)は価格上昇要因になる。

      なお、上記(1)の輸入大豆換算式において、為替以外の諸条件が一定だと仮定すると、1円の円安は約619円/トンの値上がり要因になる。

    3. フレート

      日本は、輸入の多くを米国に依存している。米国から日本へはパナマックス型と呼ばれる5万5000トン級の本船とハンディマックスと呼ばれる4万8000トン級の本船で大豆が運ばれる。この運賃が高くなると東京商品取引所のとうもろこし価格にとって上昇要因となる。

      なお、上記(1)の輸入大豆換算式において、フレート以外の諸条件が一定だとすると、1円のフレートの値上がりは約96円/トンの値上がり要因になる。

      (参考:円建て大豆先物価格の最高価格)
      円建て大豆先物価格の最高価格は、旧東京穀物商品取引所において2008年7月3日につけた80,780円/トン。このときの諸条件は;

      1. CBOT大豆価格(期近):$16.58
      2. C&Fプレミアム:$4.71/bu
        • FOBプレミアム:$0.75/bu
        • フレート:$148/ロングトン=$3.96/bu
      3. ブッシェル/トン換算:36.7454 (1bu=27.2155kg)
      4. 為替:106円
      5. CIF係数:1.05

      輸入大豆換算価格=($16.58+$4.71)×36.7454×106×1.05=87,071円/トン

  6. 投資ファンドの動向

    株式や債券等の伝統的投資資産と異なるリターンを生むオルタナティブ投資の運用先として商品先物市場にも投資資金が配分されている。商品先物取引で運用するファンドには、商品投資顧問業者(CTA)、ヘッジファンド、商品インデックスファンドなどがあり、大豆市場にもこれらのファンド資金が流入している。

    2006年から2008年にかけてエネルギー価格や食糧価格が急上昇した際に注目を集めたのが商品インデックスファンドである。商品インデックスファンドは、債券や株式の価格変動とは独立して、インフレ・リスクをヘッジできる運用資産として急速に認知され、運用規模の拡大に伴い、2008年には主要な農産物先物市場の建玉の25%から35%を占めていたといわれている。商品インデックスファンドがベースとする主要な商品インデックスとしては、S&P GSCI Commodity Index、Thomson Reuters/Jefferies CRB Commodity Index、Dow Jones-UBS Commodity Index、Rogers International Commodity Indexなどがあり、それぞれ、インデックスに組み込む商品数やその組入れ比率が異なっている。各商品インデックスにおける大豆の組入れ比率は以下のとおり。

    表28 主要商品インデックスと大豆組入れ比率

      大豆組入れ比率
    S&P GSCI Commodity Index 2.62%
    Thomson Reuters/Jefferies CRB Index 6.0%
    Dow Jones-UBS Commodity Index 5.4947720%
    Rogers International Commodity Index 3.50%

    商品インデックスファンドの運用リターンは、『スポットリターン(原資産である先物価格の価格変動から生じるリターン。商品インデックスファンドは基本は「買い」を行うので、価格が上がれば益、下がれば損になる)』、『ロールリターン(限月をロールオーバーする際に、限月間の価格差から生じるリターン。順鞘は損、逆鞘は益)』、『T-Billリターン(証拠金として用いた資金以外の預託資金を米国債で運用することによって得られるリターン)』、の3つの源泉から構成される。商品インデックスファンドは、投資金額が大きいことに加え、長期に亘って建玉を保有する傾向があり、とうもろこしの価格形成において無視できない存在である。

    CBOTの大豆市場におけるこれらのファンドの動向は、CFTCのコミットメント・オブ・トレーダーズ・レポートで入手することができる。(詳細:第5節 米国商品先物取引委員会(CFTC)建玉明細報告)


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