検定試験テキスト -貴金属取引の基礎知識- - 学習

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第3章 白金の商品知識

第1節 白金の商品特性

第1項 性質と用途
  1. 希少性
     白金の有史以来の生産量は、約4,500トンと非常に少なく、金の約15万トンに比べてもその30分の1以下しか生産されていない。その意味で金以上に希少性の高い貴金属と言える。
     また、優れた触媒作用や高い融点、化学的に安定しているという特性から、その利用は化学、電子産業、ガラス、石油精製、高温測定などの工業用、さらには医療、環境関連分野にまで及んでおり、21世紀の産業に欠かせない貴金属である。
  2. 物理的・化学的特性
     白金の物理的・化学的性質に係る基礎的なデータは下記の通り。
     ・ 元素記号Pt、原子番号78、周期表8A族・白金族の金属元素。
     ・ 原子量195.078、比重21.45(20℃)
     ・ 融点1,769℃、沸点3,827°

    (1) 物理的性質
     ・ 融点が高く、溶解しにくい。

    (2)化学的性質
     ・ 空気中、水中において酸化しない。
     ・ 酸・アルカリに反応しない。
     ・ 王水に溶ける。
     ・ 触媒作用がある。
     ・ 塩素と水素に触れると電気を発生させる。

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第2節 白金の供給

(以下、白金の需給統計に関する数値は、ことわりのない限り、トムソン・ロイターGFMS社発行の「Platinum & Palladium Survey 2013」、または、ジョンソン・マッセイ社発行「Platinum 2013」による)

 白金供給の特徴は、まず供給量が金・銀に比べ少ないことが挙げられる。 2012年の世界の白金の鉱山からの供給量は175.4トンと、金の鉱山生産量約2,861トン、銀の約24,478トンと比較すると小規模である。
 また白金の供給は、南アフリカ共和国(127.4トン)とロシア(24.9トン)の2国で世界全体の9割近くを占めており、供給ソースの偏在が著しい。
 さらに、白金は金に比べて二次供給の比率が小さいが(2012年の総供給に占める二次供給の比率は26.4%)、自動車触媒を中心に回収、再利用が積極的に進められており、近年は中古宝飾品の再利用も活発に行われている。

第1項 南アフリカ

南アフリカ共和国は世界最大の白金生産国であり、世界全体の供給量(一次供給)の実に約72%を占めている。
 南アフリカの鉱山生産量は、2000年の118トンから2006年の169トンまでは増加傾向にあったが、2007年以降は、電力供給問題、製錬所の機能停止、熟練労働者の不足やストライキ等の問題により減少傾向にある。こうした問題により、2009年には143トンにまで落ち込んだ後、 2010年は144トン、2011年は151トンと若干回復傾向にあったが、2012年にはストライキの頻発等を受けて、127.4トンと大きく減少した。 1960年代後半までは、南アフリカには鉱山会社が一社しか存在しなかったが、自動車触媒としての用途が開発されたことで鉱山への投資需要も高まりを見せ始めた。1960年代末から1970年代初頭にかけては複数の鉱山会社が設立されたことで、供給量が増加した。その後供給量は安定的に推移したが、1980年代後半になると価格が上昇し、需要の伸びが予測されるようになったことを受け、多くの鉱山会社が新規鉱山開発や既存鉱山の生産能力増大の計画を発表した。
 しかし、1990年代初頭、ソビエト連邦崩壊後のロシアが白金輸出に力を入れはじめ、また自動車触媒としてパラジウムの採用が進むと、需要縮小への懸念からプロジェクトの大半が打ち切りとなった。本格的な需要拡大の兆しは、2000年以降から出てきたが、南アフリカ通貨のランド高が新規の投資意欲を抑制し、供給は緩やかな増加にとどまっていた。2007年夏以降、ランドは下落に転じたが、2008年に入ってからは急速な電力需要の拡大に電力供給が追いつかず、多くの白金鉱山が採掘活動を一時停止した。その後、生産はすぐに再開されたものの、電力供給不足に対する懸念は強く、白金生産の不安につながっている。また、2012年には、南アフリカの鉱山においてストライキが頻発し、これが主な要因となって同国における白金の鉱山生産量は、前年比16%減の大幅な減産となった。
南アフリカで活動する主な鉱山会社は、アングロ・アメリカン・プラチナナム、インパラ・プラチナ、ロンミン、ノーザム・プラチナムの4社に加え、アクエリアス・プラチナム、エクストラータ等が操業している。
なお、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスニウムの6つのメタルから構成される白金系金属(PGM:Platinum Group Metals)のうち、南アフリカでは、主に白金、パラジウム、ロジウムを産出しており、これらの2012年における供給量は合計217.8トンであった。

第2項 ロシア

ロシアは世界第2位の白金生産国である。 2012年の生産量は25トンであり、世界の一次供給の約14%を占めている。ロシアの生産量は年によって大きく変動する傾向にあったが、近年は25トン前後で推移している。
 ロシアの白金生産量は1980年代にピークを迎え、その後ソ連邦崩壊を経て急速に落ち込み、1998年以降回復基調になるものの、最盛期のレベルには戻っていない。ロシアの白金生産の大部分はノリリスク・ニッケルによるものであるが、同社の主なオペレーションはニッケル・銅の生産であり、白金はその副産物として位置付けられている。既存鉱山の生産能力は減少傾向にあるが、ロシアには未確認の白金鉱山が存在するものと推測される。

第3項 その他の産出国

北米地域は、 2011年まで南アフリカ、ロシアに次いで高い生産量を維持してきたが、2012年はカナダにおける鉱山の減産の影響などにより9.2トン(世界の一次供給の約5%)と、若干生産量が減少した。米国では、2003年にノリリスク・ニッケルの傘下に入ったスティルウォーター社がPGMを生産している。カナダでは、ノース・アメリカン・パラジウム社のラク・デ・イル鉱山のほか、エクストラータとヴァーレがニッケル採掘の副産物してPGMを生産している。
  近年、生産量が増加しているジンバブエは、2012年には10.6トン(世界の一次供給の約6%)を生産したが、同国で採掘されたPGMは、現在、南アフリカで精錬されている。

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第3節 白金の需要

白金の主要な需要は、工業用需要と宝飾品需要である。 2012年の工業用需要は149.5トンと、総需要の60%を占めた。白金の需要及び価格は世界の景気動向の影響を受けやすく、過剰生産設備の閉鎖等による液晶画面用ガラスの購入量の減少、ハードディスクドライブ用需要の減少等の影響から、前年の160.6トンから減少した。工業用需要の中では、自動車触媒用需要が最大で約67%を占めている。また、宝飾品需要は全体の35%を占める。

第1項 工業用需要

自動車触媒用需要は、1970年代半ばの排ガス規制導入を契機に増加したが、1990年代には比較的安価なパラジウムへの代替が進み、白金需要が頭打ちとなった。しかし、1990年代後半のパラジウム価格の高騰およびロシアからの不安定な供給といった要因から白金への回帰が進み、また欧州では小型車販売台数の半数以上をディーゼル車が占めており、ディーゼル車への排ガス規制が強化されたこともあって、2007年まで白金の触媒需要は増加した。しかし、 それ以降は触媒のプラチナからパラジウムへのシフトの拡大、自動車生産の減少とともに触媒需要も減少している。
 自動車触媒用需要は8年連続上昇し、リーマンショック後の世界的景気低迷の影響を受けた2009年には68トンに落ち込んだ後、 2010年には各国における景気刺激策等の効果もあって、世界の自動車生産台数が前年比25%増加した結果、白金の自動車触媒需要も95.6トンまで増加した。その後は若干の回復傾向を示し、2012年は100.8トンとなった。自動車触媒需要の大半を占めるのは、排ガス規制の厳しい北米、欧州、日本であり、総需要でみるとこれら3地域で世界の72%を占めている。
 欧州においては、自動車触媒用需要の最大の構成要素である小型車登録台数に占めるディーゼル車の販売台数の割合が55%(2012年)と高く、近年は大型ディーゼル車に対する排ガス規制も順次強化されており、白金の需要増加要因となっている。その一方で、欧州各国でエコカーを中心とした環境性能の高い新車への買い替え支援策が実施された結果、廃触媒からの回収量が増加している。
  日本では東日本大震災の影響で落ち込んだ自動車の生産台数が2012年に回復し、総需要で18.7トンと、前年比20%の増加となった。一方、北米では12.6トンであった。なお、自動車触媒のリサイクルが進んでいる北米では自動車廃触媒からの回収分を除いた純需要は▲5.4トンと、2008年以降、リサイクル量が需要量を上回る状況が続いている。
  また、白金は、表面が酸化されにくく接触抵抗が小さいことから、高信頼性の接点として様々な電気部品に使用される。特に近年、大容量化が進むパソコンのハードディスクの分野で、容量増加に大きな役割を果たす白金の利用比率が高まっているが、 2011年にはハードディスクの重要な製造拠点であるタイにおける洪水による生産中断や、2012年には世界経済の不透明感や、スマートフォンやタブレット端末等、PGMを必要としないデータ保存技術を採用している情報端末の普及によって、ハードディスクドライブ需要の中心である個人向けPCの売り上げが減少したことなどにより、電子材需要が5.1トンと、前年比30%減少となった。
 また、白金は熱に強く、強度があることから、ガラスの製造工程で使用する装置に用いられている。ガラス需要としては、コンピュータ・モニターやテレビなどハイテク産業を中心に高品質ガラス向けの需要が堅調に推移している。特に、液晶ディスプレー(LCD)用ガラス需要については、CRTテレビからフラットスクリーンへの移行、画面サイズの大型化、およびノートブック型PC販売の拡大といったことから急成長している。この需要増に応えるべく、日本、韓国、台湾ではLCD用製造施設の増強が進んでいるが、2008年後半からは、世界的な景気減速に伴う液晶ディスプレイ向け需要が急減した。ガラス需要全体としては、2009年は0.3トンと、前年比97%減の大幅な落ち込みとなったが、 2010年には12トン、2011年には16トンと回復した。2012年は余剰設備の整理などにより、前年比65%減の5.6トンとなった。
  なお、 2012年の白金の化学需要は14トンと、前年から若干減少した。

第2項 宝飾品需要

2012年の宝飾品需要は前年比12%増加し86.5トンであった。これは、白金価格が金価格を下回るなど価格が軟化したことを受けて宝飾業界による購入量が増加したことや、中国やインドにおける小売店舗の増加により需要が増加したことなどが影響したものとみられている。
 なお、日本の宝飾品需要は1999 年まで世界第一位であったが、2000年以降は中国がトップとなって おり、2012年においては中国の需要は60.7トンと、日本(9.6トン)の6倍以上に達している。

第3項 投資需要

白金の投資需要とは、民間におけるコインやバーの退蔵用需要や上場投資信託(ETF)への投資需要を指し、2012年は前年とほぼ同じ14.2トンとなった。近年は、投資需要において白金ETFがネットでの需要において大きな割合を占めている。
  欧州では2007年4月にロンドン証券取引所、同年5月にはスイス証券取引所にそれぞれ白金ETFが上場された。また、2010年には、1月に新たな白金ETFが上場され、ETFによる白金保有残高増大が投資需要を下支えした。白金ETFの白金保有残高としては、ロンドン証券取引所(2007年4月上場)とニューヨーク証券取引所(2010年1月上場)に上場されているETF Securitiesが2013年8月30日時点で合計28.3トンとなっている。2007年5月からスイス証券取引所に上場されているチューリッヒ・カントナル銀行の白金ETF も残高を増やしており、2013年9月30日時点の保有残高は10.4トンである。
  白金価格とETFの白金保有残高は相互に影響を与え合っており、ETFへの注目が高まっている。

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第4節 白金の価格変動要因

供給源や需要先の偏在が著しい白金価格は、そうした主要生産国・消費国の政治・経済情勢や特定部門の需要動向によって大きく変動する傾向が強い。

第1項 南アフリカでの政治・経済情勢

アパルトヘイト政策放棄後、民主化路線を踏み出した南アフリカ共和国(南アフリカ)である が、同国の政治的な不安定さはかつて白金価格の潜在的な変動要因となっていた。しかし、2002年10月に施行された「鉱物・石油資源開発法(Mineral and Petroleum Resources Development Act)」により、黒人による鉱山業の所有、経営への参加が促進された。この法律の制定により、南アフリカ国内の鉱物の所有権が政府に移管され、各鉱山会社は試掘、採掘の許認可を受けて生産活動を行うこととなった。
 また運用方法の指針となる鉱業憲章(Mining Charter)では、国内の鉱業資産を2009年までに15%、2014年までに26%を黒人組織が保有することなどが示され、鉱山会社経営に大きな影響を与えている。ただ黒人組織の資金不足などの問題もあり、2009年時点での黒人の鉱山権益保有比率は平均8.9%と、目標達成には程遠い状況となっている中、2010年には鉱業憲章が改訂され、一定の条件満たせば譲渡すべき権益の11%の減免が可能となったが、今後の南アフリカ政府と鉱山業界の先行きに不透明感が残っている。2004年9月には南アフリカのインパラ・プラチナム(インプラッツ)と英ロンミンがロンプラッツの一部株式を黒人主体の企業インクワラ・リソーシズに売却しており、鉱山業界における黒人組織の影響力が増しつつある。一方、各鉱山会社では例年7~8月に労使交渉が行われる。交渉決裂から労働者がストライキに突入することも多く、労使間の対立は市場の供給不安心理を煽る一因となっている。
 さらに近年は、鉱山における事故や、国内の電力供給不足が鉱山の生産活動に影響を与えるようになっている。

第2項 ロシアの売却

ロシアのPGM生産はノリリスク・ニッケルが大部分を占めているが、ロシア東部にも少量ながら生産している鉱山会社がある。在庫を保有するのはロシア中央銀行、ノリリスク・ニッケルであり、かつては、ロシア貴金属輸出公団「アルマズ」が、西側諸国への売却を独占的に行っていた。PGMが輸出されるには輸出割当と輸出ライセンスに加え、最終的に大統領の承認が必要であり、この制度が輸出遅延の一因となった。エリツィン前大統領時代の相次ぐ首相解任時(1998年3月~1999年8月)には、輸出割当や輸出ライセンスの承認待ちなどで解任のたびに輸出が遅れるのではとの見方が台頭し、市場を混乱させる要因となった。ただ2000年5月のプーチン大統領就任によって政局が安定したことや、ノリリスク・ニッケルが1999年3月に10年間のパラジウム、2002年1月に5年間の白金・ロジウムの輸出割当を獲得したことからPGM市場は安定しつつある。
 主な売却手段としては、以前は日本をはじめとした輸入国との長期契約が全体の多くを占めたが、現在ではスポット契約中心となっている。長期契約の交渉は1995年まで毎年12月に行われていたが、それ以降は管理機構改変などに伴う混乱や、議会の予算承認の遅れ、輸出承認取得の障害によって年初から輸出が停止されることが多くなった。1997年以降は毎年のようにロシアの輸出再開が遅れたため、商社は長期契約を敬遠しスポット契約に切り替えた。
 ロシアにとって貴金属は有効な外貨獲得手段であるため、価格が高い時にはスポット市場での売却がさらに多くなる。この売却によって需給ひっ迫感が薄れて急落する場面も見られたが、時が経つに従い、アルマズも小口でスポット売却を進めるようになった。
 ロシアでは施設の老朽化などによって、ノリリスク・ニッケルの生産が伸び悩んでいる。2007年には、国家備蓄が枯渇しつつあることや、新たな輸出許可規則の実施を巡る混乱から、年初の数ヶ月間、一時的に供給停止に陥り、供給が逼迫した。2008年以降、ロシアの白金生産量は25トン前後で推移し、2012年の生産量は24.9トンとなった。

第3項 排ガス規制

日米では1970年代に排ガス規制が実施され、自動車触媒用需要が増加し始めた。欧州ではディーゼル車が人気を集めているが、1980年代後半に一部諸国で排ガス規制が実施され、窒素酸化物(NOx)の排出を抑えるためにディーゼル車にも白金触媒が使われている。世界的な環境保全運動の高まりから排ガス規制は一段と進み、ディーゼル車への白金需要は一段と増えることが予想される。
 自動車触媒は白金、パラジウム、ロジウムを組み合わせる3元素触媒が使われるが、排ガス基準が強化されると、基本的にすべてのPGMの使用量を増加させる必要がある。(これらのいずれかの価格が相対的に高まると、他の金属での代替が進む。)
  また、今後注目されるのは排ガス規制の地域的な拡大である。中国では欧州の排ガス規制をモデルとし、2003年初めに北京でEuro2相当の排ガス規制が導入されたのを皮切りに、徐々に全国的に規制が強化され、2008年には、Euro3相当の規制がほぼ全国で発効し、北京、上海、広州にはEuro4相当の規制が導入された。さらに、中国では、2013年7月からはEuro4相当の規制が全国規模で導入された。
  欧州においては、小型車に対する新たな排ガス規制Euro5が2009年から2010年にかけて発効し、世界的な景気悪化による自動車需要の落ち込みにもかかわらず、白金需要の下支え要素となったが、その一方で、欧州各国においては、環境付加の低いエコカーへの買い替え促進制度等によって廃触媒からの回収が進み、新規需要の伸びは限定的なものとなった。ただし、その一方で、欧州では、2014年にはディーゼル車のNOx排出基準がEuro5からさらに28%引き下げられたEuro6が導入予定となっているため、景気回復に伴う自動車販売台数の増加と合わせて、今後も需要の下支え要因となるものとみられる。
  その一方で、自動車触媒における白金やパラジウムの使用率を低減させる技術開発が進んでいることにも注目すべきである。

第4項 主要消費国の景気動向

白金の需要は、先進国と中国に偏っているため、これらの国々の景気動向が白金需要を左右する。このため、 需要動向そのものに限らず、その先行指標となる株価の動向にも敏感である。特に先進国における自動車生産動向は触媒需要の増減に直接影響を与える。
 また、近年では中国経済の成長が著しく、世界最大の宝飾品需要国となっている。一方、日本はバブル崩壊以降長引く不況で宝飾需要は減少し、1997年以降は減少の一途を辿っていたが、近年は、中古宝飾品の再生利用が進んでいることもあり、2012年の日本の宝飾品需要は10トンとなった。また、2012年における中国の自動車生産台数は1,927万台と、米国の1,033万台、日本の994万台、ドイツの539万台を大きく上回って世界一となっており、自動車触媒を中心とした工業用需要の行方も無視できない。

第5項 為替要因

他の国際商品と同様に、円安は円建て価格の、ドル安はドル建て価格の支持要因となる。したがって、円高・ドル安時には他の条件に大きな変化がなければ、円建て価格の下落とドル建て価格の上昇が予想される。しかし、東京商品取引所が世界最大のプラチナ先物市場となっており、世界のプラチナ価格指標として認知されているため、為替要因による東京での円建て価格の下落予想がドル建て価格上昇への期待を上回り、海外のドル建て価格も下落することもある。

第6項 燃料電池

新エネルギーとしての普及が期待される燃料電池の触媒に白金が使用されている。 2012年における自動車触媒、化学工業における白金需要は世界でぞれぞれ100.8トンと14トンであった。 燃料電池としてはキロワット当たり1~2グラム程度の白金が使用されるが、いずれ使用量は1グラム程度になるとみられる。燃料電池車についていえば、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2008年の報告によれば、燃料電池車1台に使用される白金量は、小型車(80kw)で1台あたり32g、中型車(150kw)で60g、大型車(250kw)で150gと推定されているが、1台あたり平均100gの白金を使用するとすれば、 世界の自動車生産量(2012年)8,410万台に対して8,410トンの白金が必要となる。しかしながら2012年の世界の白金生産量は175.4トンと、 世界の燃料電池車需要の2%程度の供給量であり、供給不足による高コストも燃料電池車の普及阻害要因となっていることから、白金に代わる触媒用素材として炭素材料などの実用化に向けた研究も進められている。

第7項 リースレート

リースレートは現物を貸し出す時の金利であり相対取引にて決められる。リースレートの上昇は現物需要の旺盛さや供給の少なさを示すため、上昇すれば強材料とし低下すれば弱材料になる。かつて白金3ヶ月物のリースレートは100%~200%に達したこともあり、需給を示すバロメーター的な数値としても注目されている。




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