原油価格の主な変動要因

原油は、需要と供給のバランスが最大の価格決定要因となります。近年では米国のシェールオイルの生産拡大や中国等新興国の経済成長の減速といった要因による需給緩和をきっかけに、2014年後半から大きく価格が下落しましたが、その後の産油国の協調減産等を受けて持ち直しており、価格に影響を与える主因を常に把握して変化を上手く捉えることが重要です。

  1. 米国シェールオイルの生産状況(稼働リグ数など)

    シェール革命により2014年には米国が世界最大の産油国となり、米国のシェールオイルの動向は原油価格の行方を判断するうえで大きなウェイトを占めるようになりました。米国のシェールオイルの動向を探るにはリグ稼働数が先行的な指標となります。リグ稼働数はシェールオイルの開発の為に掘削を実施している装置の数を表しており、実際にシェールオイルの生産が開始されるのは掘削開始から約半年程度先となりますが、リグ稼働数の変動のみで原油相場の変動要因になることがあります。

  2. OPECの動向

    原油輸出国により構成される石油輸出国機構(OPEC)は、世界の原油生産量のうち約4割を占めており、加盟国が協調してOPEC全体の生産量や国別生産の上限設定等の需給調整を行うことにより、市場に対する影響力を保有しています。原油価格の大きな下落を受けて開催された2016年11月の総会では、8年ぶりに協調減産の合意がなされ、また非OPECとも協調減産に合意したことにより原油価格は反発しました。しかし、過去の経緯を辿ると、OPEC各国が減産に合意できたとしても生産枠が守られないことが多かったことから、その後の合意延長も含めてどの程度生産枠が守られるかという点もポイントとなります。

  3. 非OECD諸国の需要

    2000年以前の原油消費の中心は経済協力開発機構(OECD)加盟国(主に先進国)であり、全体の6~7割を消費していましたが、その後、非OECD諸国(主に新興国)が高い経済成長を背景に消費量を拡大させ、現在では非OECDのシェアは50%以上を占めています。非OECDによる消費拡大は中国が牽引役となっており、インドやブラジルなどの消費も増えてきております。こうした国々の経済成長が原油価格に影響を与えるようになってきており、これらの需要動向にも注意が必要です。

  4. 米国の在庫状況

    米国は世界最大の原油消費国であるとともに、世界最大規模の生産国でもあることから、その消費と生産の動向は原油の価格形成に強い影響力を持っており、その実態は、米国エネルギー情報局(EIA)が毎週水曜日に発表する原油在庫量で捉えることができます。EIAが発表する原油在庫が増加すれば価格低下要因となり、また、減少すれば上昇要因となりますが、他の経済指標のように事前予想値と発表数値との相違幅もポイントとなります。

  5. 原油先物市場の建玉状況

    TOCOMのプラッツドバイ原油やニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI原油の取引状況は、カテゴリ別の建玉により把握することができます。プラッツドバイ原油のカテゴリ別の建玉については、毎日、TOCOMが取引終了後に発表しています。WTI原油については、米商品先物取引委員会(CFTC)が現地時間の毎週火曜日の取引終了後にNYMEXから報告されたものを集計し、毎週金曜日の取引終了後に発表しています。特に、投機家の建玉動向は大きく注目されており、投機家の買玉又は売玉の増減で原油価格が左右されることがあります。

  6. その他の要因

    その他の相場要因としては、中長期的なエネルギー全体の需給構造の変化といった、他の一次エネルギーとの競合や地球環境問題などがあります。また、原油採算価格算出のベースともなるドル、ユーロ、円の為替相場動向や金融動向、経済動向なども相互に影響を与えることがあります。近年では、機関投資家による商品市場への資金流入が拡大していることや、原油価格に連動する投資信託などの新たな金融商品も広がりを見せているため、これらの動向にも注意を払う必要があります。さらに、国際的な政治情勢、地域紛争やテロなど、世界で起きているあらゆる事象にも敏感に反応します。特に、原油産油国の多くは、中東諸国、アフリカ、南米など、これら地域は歴史的に政治・宗教・民族問題を孕んでおりますので、日々のニュースなどを良くチェックしておく必要があります。


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